前項では、調理をせずに食べられる「非常食」、お湯を注いだり、少し加熱して食べる「災害食」、いつもと同じ食事が作れる「常用食」など、災害時のいろいろな場面で活用できる食材・食品を切らすことなく、備蓄しておく『ローリング・ストック』のやり方を紹介しました。

今回は『電気の備蓄と補充(ローリングストック)』です。
情報入手に欠かせないスマートフォンやラジオなどのモバイル機器を活かすために用意したいバッテリーを持続的に確保するやり方とバッテリーから使用機器への接続方法を紹介します。

日ごろ私たちは、コンセントにプラグを差し込むだけで、交流100Vが得られることを前提に生活を過ごしています。
しかし、地震災害が起こった時には、家庭に引き込まれている商用電源は、そこに至る電力網のあちらこちらで断線が起きて停電になったり、電気災害を防止するために電力会社が送電を遮断して停電になったりするのです。
さらに、大元の沿岸部にある火力発電所が被災して稼働不能になったり、再稼働にむけた点検で稼働休止する期間は長期にわたると思われます。太平洋沿岸の発電所がダメージを受けた場合に電力会社間の電源系統で日本海側の発電所からの融通があったとしても、送電線の復旧との兼ね合いで、安定した送電に戻ることは長期にわたって望めないでしょう。
そのようなときに、私たちの家庭ではどのように対処すればよいのでしょうか。
順を追って説明いたしましょう。

(1)災害時にも欠かせない電気機器
(2)電気機器に使われる電源
(3)発電と蓄電・消費
(4)電気の備蓄も「ローリングストック」で

(1)災害時にも欠かせない電気機器

私たちの生活は「電気に支えられている」と言っても過言ではありません。
照明、ラジオ・テレビ、電話、パソコン、炊飯器、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機など、数えあげると切りがありません。
しかし、これだけの機器を平常時と同じように使うならば、7Kwh程度(箪笥サイズ)の蓄電池を備えておかなければなりません。また100万円程度の投資も必要です。
だから、割り切りが必要です。安全な生活を維持するための判断と行動に必要な「明り」と「正しい情報」。そして、安心な生活を導く「安否情報の相互確認」。
そのために最低限必要な電気機器は、照明、ラジオ・テレビ、電話(携帯電話・スマートフォン)です。
もちろん、冷蔵庫や煮炊きに用いる動力や熱源も生活維持には必要ですが、これは電気以外でのまかないを考えましょう。

(2)電気機器に使われる電源

一般の電気機器:交流100V
クルマの中で使用する電気機器:直流12V
乾電池で使用する電気機器:直流1.5V、3V、4,5V、6V・・・
充電可能電池の充電器:交流100V、直流5V、12V
内臓バッテリーで使用する電気機器の充電:直流5V

地震災害被災地の人たちが「備えておいて良かったもの」として挙げている代表的な電気機器として「懐中電灯」があります。
懐中電灯に装着するのは乾電池。これは、懐中電灯とあわせて備えておかなければなりません。一時使うだけであれば「使い切り」で構いませんが、懐中電灯が長期間必要となる事態では「充電可能な電池」が必需品です。

(3)発電と蓄電・消費

商用電源が停電している非常時に「充電可能な電池」を使い続けるためには、何らかの自前発電が必要です。

発電機器には、太陽光を代表とする再生可能エネルギーを電気に変えるものと、ガソリンやガスを代表とする化石エネルギーを電気に変えるものがあります。
システムを組み上げるには少し知識が必要ですが、ユーザーとして取り扱いやすい(点検保守がほぼ不要、引火炎上や爆発しない、排気ガスを発生しない)のはやはり太陽光発電でしょう。小規模で良いので、一つは持っていると停電時に大いに役立ちます。
しかし、短所は発電できる条件が限られることです。太陽が出ている昼間で、なおかつ晴天(雨天でも若干は発電します)でなければなりません。
そこで、太陽光発電の短所を補ってくれるのが、発動機式発電機(いわゆる”発発”)です。しかし、太陽光発電の長所であった安全性は、逆に発動機式発電機では短所になります。特に、排気ガスを発生させるために、屋外に設置して運転しなければなりません。閉鎖された空間(室内)での使用は厳禁です。さらに、騒音が発生しますので、夜間に使えるのは本当の非常時のみとなります。
どのような機器も一長一短がありますので、用途環境に応じたシステムの選択が必要ですし、安全運転の知識が必要です。せっかく助かった命を、そのあとの生活の中で失うのは辛いことですから。

さて、これらの発電機器と蓄電機器は直接継電できるものと、中間機器を経由しないと継電できないものがあります。また、蓄電機器と消費機器も直接継電できるものと、中間機器を経由しないと継電できないものがありますのでシステム的な準備が必要です。
下記に継電系統を示します。

(4)電気の備蓄も「ローリングストック」で

一つのバッテリーで言えば、「消費」→「充電」→「備蓄」というサイクルを繰り返します。
「消費」のフェーズを途切れなく行うには、少なくても3個のバッテリーが必要となります。
ガソリンやガスなどの燃料を使わない太陽光発電は、持続的な発電が可能ですが、天候や日照の具合によって、充電時間は長くなることはあっても短くなることはありません。もちろん、夜間には発電できません。
そこで、バッテリーを1個増やして4個にすることで「電気のローリングストック」ができるようになります。

電気の備蓄(ローリングストック)を紹介いたしましたが、皆さま方のご家族構成や生活に必要な電気器具は千差万別です。
お困りのことがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。一緒に考えて、電気の備蓄のお手伝いをさせていただきます。

次項は『水の備蓄と補充(ローリングストック)』です。
「水」の確保は、私たちの生命の維持に直結します。大切な「水」を賢く蓄え、賢く使う方法を紹介します。