前項で地震災害に対する「”不安”と”心配”」そして「”不安”から”心配へ”」と変化させる方法を紹介しました。その中で、不安を具体的な心配に変える手掛かりとなる『地震防災(減災)の課題マップ』を示しました。あらためて以下に掲載します。

このマップ(表)は、地震災害発災中を挟んで、事前と事後に起きること、または実施すること、実行することを配置してあります。そして、事前の事項は事後の事項を見据えて行うこと、という関係になっています。

今回は、縦軸にある『自助、共助、公助』について、災害発生後の福祉を成り立たせるうえで大切な比率を紹介します。(この比率は、私の私見です。考え方として受け止めてください)

災害時の福祉のための事前防災(減災)

ここで言う「福祉」は、コラム『事前の「福祉」と事後の「福祉」』でも示した通り、事前の「福祉」です。

目的は、地震災害の後でも「家族」が他人に気兼ねなく一緒に生活するということです。
そして、実施目標は、地震災害によって自分の家族に何が降りかかってくるのか、何が起きるのかを想像して、自分の家族を守るのに必要なことを整えることです。

自分の家族が守れていないと事後に他人の家族を助けることも出来ません。そして、数多くの家族が自分たちで自分の家族を守ること、地震災害の被害軽減に備えていくことが、事後の「福祉」の領域を必要最小限にとどめ、社会資源を集中させて復旧・復興に向かうことが出来るのです。

あらためて『地震防災(減災)の課題マップ』を見ていただくと、左側にある縦軸に『自助、共助、公助』という言葉が書いてあります。

「自助」とは、自分でやらなければならないことを自分の責任で実施すること
「共助」とは、隣近所や友人・知人とお互いに支え合い・助け合うこと
「公助」とは、行政でなければできないことは、行政がしっかりとすること

この注釈を踏まえて表の第1列を読んでみましょう。第1列は『事前防災(減災)』の項目です。

第1列にある「自助」の項目は、「自分・家族」と「家」に分けられています。

「自分・家族」では家具を撤去・固定、ガラスの飛散防止、棚の内容物飛び出し防止、自前トイレを装備/使用訓練、飲料水/食料/自己治療備品確保、代用が無い物を確保、初期消火訓練/電気ブレーカー遮断訓練/ガス元栓遮断訓練があります。

「家」では耐震診断・耐震補強、ブロック塀除去、消火器設置があります。

これらは、自宅および自宅内での被災軽減のための措置で、「自助」の最たるものです。
他人が主導的にやれることではありません。しかし、どのような状態にすれば良いのか、そして現状では何が不足しているのかを見極めることが出来なければ、対策実施には進んでいけません。
やろうとする意志があるのなら、その見極めと対策実施は専門業者にゆだねるのが良いでしょう。
良心的な専門業者であれば、依頼者の要望をよく聞いて、必要最小限の施工を提案し、実施してくれるはずです。

このとき、建物や外構については、無料耐震診断(建築条件あり)や診断結果に基づく耐震補強費用補助、ブロック塀撤去費用補助などが、申請により与えられます。これが「公助」です。
しかし、この「公助」を受けなければ耐震診断や耐震補強が出来ないのではなく、行政は、人命にかかわる被害や建物の倒壊による市民の生活困窮および社会経済損失を軽減するために、個人資産に関わるところではありますが、税金を投入してくれるのです。

すなわち、発意・行動の重みで考えれば、「自助」9割、「公助」1割といったところです。

次に、そこに関わる「共助」を考えてみましょう。
自助減災の支援という事項があります。施工や備品準備、行動訓練などです。後々困らないように事前に一緒に考えましょう、やってみましょうということです。良い意味での「お節介」です。
自治区で行われる防災訓練や講習、民生委員さんによる支援などが「自助」の増進につながることを期待したいですね。

以上を統合してみると、「自助」7割、「共助」2割、「公助」1割と言えるでしょう。
しかし、私たち1人ひとりは「自助」10割の気持ちで減災対策に取り組んでいきましょう。

次項は『助ける人、助けてほしい人』です。

「災害弱者」と言われる高齢者、障がい者、妊婦、乳幼児などはもちろんのこと、現在は生活に支障を感じていない人でも、ひとたびケガをしたり、強いストレスで精神的なダメージを受けてしまうと「助けてほしい人」になってしまいます。

幸いにして「助けてほしい人」にならなかった時だけが「助ける人」となって活躍出来るのです。
だから、すべての人(家族)は、現在の状態を認識したうえで、助ける人が助けやすいようにしておくという心構えで準備と実践をしておかなければなりません。。

そこで、次項では「助ける人」および「助けてほしい人」としての準備、実践を紹介します。